フィンガーレイクスの中でもサステイナブルなワイン造りで地域を牽引するワイナリーを紹介します。ワイン好きにはたまらない、知る人ぞ知る小さなワイナリーです。
Silver Thread Wineryの魅力と特徴
隠れ家のような美しいスポット
なんといっても小さくて、メインロードからは見えなくて、まさに隠れ家的存在のこのワイナリー!
ワイナリーに続く農道のような砂埃の凄い道 (はやる気持ちを抑えて、スピードを落とさないと砂埃が凄い) を湖に向かって下っていくと突如として現れるシンプルかつスタイリッシュな小さな建物。ヒルサイドに作られたこの建物は断熱性に非常に優れているそうです。
サステイナブルなワイン造りで受賞
緑に包まれて、とても幸せな気持ちになる、このワイナリー。実はとっても環境や地域社会へのサスティナビリティに配慮していることで有名です。ワイナリーやワイン畑で必要な電気はすべて太陽光発電で賄われています。また、土壌にも非常に気を使ってワインづくりをされています。
前オーナーにより、フィンガーレイクス地域で初めてオーガニックワインの認定を受けたワイナリーでもあります。
人もブドウも、無菌では免疫がつかず、健康には育たない。結局は全体で健全なエコシステムが大事、という信念のもとオーガニックはもちろん、害虫やカビの対策にも科学的なだけでなくホリスティックな視点を常にもち、土地の環境にあったアプロ-チをとっている (バイオインテンシヴと呼んでいる)。ワイン畑ではニワトリたちが害虫をつまむ。ニワトリが対処できなかったものはオーガニックで有機的なスプレーを使う。
畑の運営・ワインメーカー・オーナーであるポールさんはコーネル大学でワイン醸造の修士学位を取得 (奥さんも学士がコーネル)。現在はワイナリーだけでなくFLCC (フィンガーレイクスコミュニティカレッジ) で教育にも携わり、また教育のための多くのファンドレイジングを行っている。
’80年にブドウ栽培を始めてからずっと取り組んでいる環境やサステイナビリティへの姿勢に対し、2023年にNY Wine&Grape財団によりSustainable Awardを受賞しました。
ニューヨークワインの定番をバランスよく楽しめる
栽培品種はRiesling, Gewurztraminer, Pinot Noir, Cabernet Francなどニューヨークワインの定番品種に加え、Chardonnay, Cabernet Sauvignon そして Merlotと多岐にわたります。
年々悪化する気候変動を見越し、ローカルで開発される (コーネルなど) よりこの地域に適した品種を選んで栽培しています。より地域に適したものは、気候の影響だけでなくそれらによる害虫やカビの心配が少なく、スプレーなどをする必要が減るから、だそうです。
ブドウ栽培面積はセネカレイクの東岸中部 (湖は海抜-200ft = 60mくらいの深さの地点) に約10エイカー。深い湖のおかげで温度の下降が緩やかなため、昔はこのあたりには先住民により桃が栽培されていました。
コロナイズ以前、南北の先住民同士の交流・トレードはかなり盛んでした。
その後南部からその土地に住んでいた先住民が土地を追われ、一部はNYの先住民族連邦ホディンソーニHodinohso:nih (英語ではSix Nations/Iroquois、またはハディノソーニとも) にアドプトされる。が、最終的には彼らも桃の木含め畑や家を焼き払われ、土地を追われ、多くはナイアガラを超えてカナダのオンタリオ州にある小さなプロットに住まされました。
Silver Thread Wineryの雰囲気
プライベートな雰囲気が最高のデッキ
セルフテイスティングは基本的に奥のデッキ/バルコニー部分で。すっかりRte414からは離れ、静けさに包まれる。
ちなみに、建物の前にはいくつかピクニックテーブルがあり (最初の写真参照)、グラスを楽しむことができる。
可愛らしく心地のいいインサイドスペース
ガイデッドテイスティングやワインの販売などは室内スペースで。天井が高く、自然光が取り入れられる美しい山の別荘のような建物にうっとり。
Silver Thread Wineryのテイスティング
テイスティングの種類と値段
- VIPテイスティング (予約必須): $25-30 ワイナリー階下のVIPルームでのテイスティング (ヴァインヤードツアー、チーズペアリング、またはライブラリーコレクションから選択)
- プレミアムテイスティング (予約推奨): $15 プリフィックスのテイスティングフライトで、私たちが行ったときにはFLXフライト (白赤)、リースリングフライト、チョコレートペアリングフライト (白赤) がありました。セルフガイド
- ガイデッドテイスティング (予約不可): $12 FCFSなので予約できませんが、説明を聞きながらテイスティングできるやつです。リストの中から自分でワインを選べます。
私たちはプレミアムテイスティングのフライトを頂きました。
これらのフライトに、気になっていたペトナ (pétillant naturel) をプラスしてもらいました 。ペトナは伝統的なワイン製法ですが、最近フランスをはじめアメリカでも流行っているんだそう。
ペトナを購入~しゅわしゅわや色味もとても素敵なので、ちょっと良い日に飲みたいです。
Silver Thread Wineryの人数の制限は?
スペースが小さいので最大6人/グループ (アルコールを飲まない人、子供もカウントされる)
Silver Thread Wineryで予約は必要?
とても小さなワイナリーなので繁忙期は予約をお勧めします。ネットまたは電話で予約できます。
ガイデッドテイスティングは予約不可なので、そちら希望の場合は電話して混雑具合とかを確認していくのがおススメです。
Silver Thread Wineryにフードはある?
ペアリングのチーズ、チョコレートはあるがそれ以外はありません。外のテーブルでボトル・グラスを楽しむ場合、フードの持ち込みは◎となっています。
チョコレートはロチェスターのHedonist (ヒドニスト) ! ワインをHedonistに送って、合うチョコを作ってもらう (または提案してもらう) そう!
ただし、暑い日は結構融けてしまい、ペアリングというより先にチョコを食べなくてはならない状況になることも(笑)💦
チーズはセネカレイク北、Genevaからも遠くないところに位置するチーズ専門店から。
どちらもFLXエリアのローカルのものを扱うお店で見ることがあります。
Hedonistはイサカダウンタウンでも (私の知る限りは) 一店舗だけ取り扱いがありますが、ロチェスターのお店はとっても美味しいアイスクリームも作っているし、セカンド品も売っているし、あたりまえだけど本店なので全部あって断然お勧めです!
Sliver Thread Wineryその他の情報
Silver Thread Wineryの営業時間
ワイナリーは5-10月の間、木曜日から月曜日まで開いています。
(小さなワイナリーなので電話で確認されることをお勧めします)
Silver Thread Wineryへのアクセス
1401 Caywood Rd, Lodi, NY 14860
セネカ湖東岸のEast Seneca Wine Trail (Rte414) にあります。Shalestoneからかなり近いです。
フィンガーレイクス周辺主要エリアからローダイLodiへの所要時間
- イサカ (Cayuga湖) から40-45分
- Trumansburg (Cayuga湖) から20分
- ジェニーヴァ (Seneca湖) から35分
- ワトキンズグレン (Seneca湖) から15分
ニューヨーク州の主要都市からの所要時間 (車)
- ニューヨークNYC ⇒ イサカ: 4時間
- バッファローBuffalo, アルバニーAlbany ⇒ イサカ: 3時間
- ロチェスターRochester ⇒ イサカ: 2時間
- シラキュースSyracuse, ビンガムトンBinghamton ⇒ イサカ: 1時間
これらの都市 (特にNYC) にはイサカから格安高速バスが出ています。
格安バスではないですが、NYC⇔イサカの移動の場合、コーネル大学の運営するバスが快適です。
公共交通機関
なし
ワイナリー併設宿泊施設
なし
Silver Thread Wineryのワイナリー外での流通
FLXエリア以外にもいくつかの州のお店で見つけられるようです。ペトナは性質上あまり遠くでの流通はなさそう?わからないけど・・・気に入ったらワイナリーでの購入をお勧めします!
イサカでは以下のお店がおススメです。
Silver Thread Wineryのワインを日本で買う
以下で2023年現在三種類の取り扱いがありました。こちらはニューヨーク州のお酒に特化したお店で、ワインだけでなくビールや蒸留酒も取り扱っています。種類は多くはないですが、いいセレクション!と感動します。
その他
Silver ThreadはエリアにあるSilver Thread fallsに由来。
ロゴのカメちゃんはネイティブアメリカンの何世紀も前のペトログリフからきているそう。 (NYボタニカルガーデンで見られるらしい)
カメはHodinohsonihのクリエーションストーリーのなかではSky worldからSky womanが落ちてきたときに”地上 (⇒のちにEarth、すべての源、となる)”としてでてくるし、Hodinohsonihを含め多くのネイティブインディアンのクラン (先住民の家系のようなもの) の一つとしてもある (Turtle clan)
先住民がカメを母なる地球のシンボルとして大切にしたように、常に土や水を大事にすることがいいワインづくりにも大事ということでカメちゃん、ということでした。なるほど~。
Creation storyはマテリアルによって微妙なアレンジ?による違いはありますが、大まかなお話は同じ。面白いです。
Silver Thread Winery周辺レストラン・フード情報
フィンガーレイクス全体的に言えるんですが、湖の両端の街には結構フードがあるんですが (イサカやジェニーヴァ、ワトキンズグレンなど)湖の東西サイドにはあんまり多くないです。
また、大きいワイナリーは結構レストランなどがあるんですが、観光で有名だし、そこに集中するので混んでいることも多いです。
もし観光でお越しの際はフードの有無は要チェック!それに合わせてプランを立てるのがおススメ。
ルート414沿いのレストラン・フード (近隣)
- Dano’s (オーストリア料理)
- Lucky Hare (ブルワリー。併設のバーガーが美味しい)
- Stonecat cafe (ローカルレストラン)
- Ryan William Vineyard (ポストCOVIDにオープンしたワイナリーxレストラン。お肉も自前)
↓Silver Thread Vineyardのサイトでも周辺のお勧めレストランと宿泊情報が載っています
ワトキンズグレンWatkins Glenにあるレストラン・フード
ワトキンズグレンはSilver Thread Wineryから一番近い街になります。
小さい街だけどMain St沿いには結構たくさんフードがあります。DowntownからSeneca Lakeまで歩いてすぐで、遊覧船なども出ています。
フィンガーレイクスにワイン目的で観光でくるときにはジェニーヴァGenevaと並んで拠点となる街の一つ。イサカよりもさらに小さい街なので、ぎゅっと見どころが凝縮しているのも便利だよ。
車のレースで有名で、レースがあるときには信じられないほどとても混むので避けてね。ガラスで有名なコーニングCorningにも近いよ。
また、Downtownから歩いて10分弱のところにはWatkins Glen State Parkなどもあり、トレイルも楽しめます (シーズン中の特に土日はとても混みます!)。
- Nickel’s Pit BBQ (美味しくてリーズナブル!)
- Thai Elephants (本格?タイ料理でサービスもとてもいい)
- Graft (フィンガーレイクスのドリンクをたくさん取り扱い
まとめ
- Silver Thread Wineryはフィンガーレイクスでもオーガニックとサスティナビリティのパイオニア的存在
- 予約は必須ではないが、かなり小さいので初夏~秋のはじめの時期はお勧め
- ワイナリーにフードはないが、周辺のレストランはハイレベルなので要チェック
- 周辺はフィンガーレイクスでも最もワイナリーが多いエリア (ブルワリーも多い)