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NY薬局 | アメリカで鼻詰まりに効くOTCの購入方法

how to buy behind the counter medication in the US NY Health

薬局カウンターでしか買えない薬の買い方を元日本薬剤師・元アメリカ薬局スタッフが解説します。

花粉症がひどくって鼻づまりで夜も寝苦しくて困ってます

鼻詰まりの薬を買いたかったけど、なんだかよくわからなくて・・・

この記事を読めばどうやって規制のある市販薬を買えるのかわかります!

州によって細かくは異なるかもしれないので、ニューヨーク州のケースです。

また、本項は薬の販売を促進する目的ではありません。

ニューヨークで薬局カウンターでのみ買える薬

アメリカではスーパーで多くの市販薬 (OTC, over the counter) が購入できます。

つまり、食品などのようにセルフレジでも買えます。

医療へのアクセスが日本よりハードルが高いので、セルフメディケーションは当たり前

ただし、ある成分を含んでいる薬はかならず薬局で購入することになっています。

これを、OTC (薬局から見てカウンターの向こう側) に対してbehind the counterと言います。

その”ある成分”とはPseudoephedrine シュードエフェドリンです。

※日本語ではプソイドエフェドリンと書かれることも多いですが同じものです。

シュードエフェドリンとは? アメリカで買える代表的な商品は?

シュードエフェドリン (プソイドエフェドリン) は鼻詰まりに効く

シュードエフェドリン (プソイドエフェドリン) は副鼻腔炎 (sinus) 鼻づまり (nasal congestion, stuffy nose) などに有効な成分です。

また、これによっておこる圧からの頭痛などにも効果があります。

因みに、くしゃみ鼻水には効果はありません

ですので鼻づまりがひどくない場合は、シュードエフェドリン以外の、症状にあった薬を探す必要があります。

鼻詰まりは鼻の毛細血管の拡張・腫れによりおこります。

シュードエフェドリンは血管を収縮させることでこの腫れを抑え、鼻が通るようになります。

血管への影響のため、高血圧や循環器の持病のある方、妊娠中の方、ほかにも飲んでいる薬との相互作用など少しでも疑問がある場合は購入前に薬剤師に相談しましょう。

アメリカでシュードエフェドリンを含む代表的な市販薬

Sudafed スダフェド

Photo: Sudafed website

アメリカで有名なのはSudafedと呼ばれる商品 (先発品、ブランド) です。

※ジェネリック (シュードエフェドリン) があります。

Pharmacy staff
Pharmacy staff

シュードエフェドリンと覚えなくても、generic sudafedと伝えればOK

SudafedでもSudafed PEはシュードエフェドリンを含まない別物で

(これはOTCとして買える)

下のシュードエフェドリンとフェニレフリンの項を参照してください

Claritin-D クラリティンD

Photo: Claritin website

こちらはクラリティン (成分名ロラタジン) にシュードエフェドリンが配合され、くしゃみ鼻水に加え鼻づまり症状にも効くタイプ。

※ジェネリックがあります (ClaritinDはなかなかお高いです)

ブランドがいい方はibottaでたまにクーポンが出ているのでチェックしてみてください

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ニューヨークの薬局でのシュードエフェドリン含有薬の購入方法

①薬局のレジに向かい、欲しい商品を伝える

アメリカでは日本と異なり、薬剤師が最初からお客さん/患者さんの対応をすることはほとんどないです。

なので購入窓口レジに直行し、商品名とパックサイズ (count) を伝えます。

(もちろん、何を選べばいいか分からないときや質問がある場合は薬剤師に質問がある旨を伝える)

②IDの提示

写真付きID (運転免許証やState ID、またはグリーンカードなど連邦発行のID) を渡します。

薬剤師の裁量で写真付きならアメリカの学生証やパスポートでも大丈夫ですが

その際は住所なども必要情報になります。

運転免許証は裏にバーコードのようなものがあって、スキャンするだけで全部情報がインポートされます。

NY州では、購入規制のあるこれらの薬の購入履歴はすべてシステムで管理されており、

複数の薬局で、一定以上の数を購入できないようになっています。

③必要用紙に名前をサイン

ID入力と商品のスキャンが終わると、レジで専門の用紙にサインを求められます。

こちらはサインの後、画像としてシステムに取り込まれて保存されます。

④支払いして終了

OTCですので、HSAカードが勤め先からベネフィットとしてある場合は、それで会計することができます

これはどんなOTCでも同じです。今度詳しく記事を書きますね。

さらに色々知りたい方へ

シュードエフェドリンとフェニレフリン

SudafedでもSudafed PEはシュードエフェドリンを含まず、phenylephrine (フェニレフリン, PE) という”似た作用を持つ”成分のものがあります。

また、以前はMucinex Dというムシネックスのシュードエフェドリンを含む商品がありましたが、最近こちらもフェニルフェリンに完全移行したようで、Mucinex Sinus-MaxとしてID不要で買えるようになりました。

現在、これらはシュードエフェドリンを含む製品と同じく、”鼻づまりに効く”として売られていて、OTCとして買うことができます

ただし、薬の吸収代謝の性質上、一般的に飲み薬(タブレット、カプセル、シロップなど)として用いた場合シュードエフェドリンのほうがフェニレフリンに比べて鼻づまりに対する効果が高いことが知られていました。

実際にFDAのアドバイザリーボードが2023年9月に経口で摂取した場合、フェニレフリンには鼻づまりに対する効果はなく、FDAはこれに対応すべき”

という結論を出しています。

それを受けてのFDAの発表がこちら

The committee discussed new data on the effectiveness of oral phenylephrine and concluded that the current scientific data do not support that the recommended dosage of orally administered phenylephrine is effective as a nasal decongestant. (中略)

FDA will consider the input of this advisory committee, and the evidence, before taking any action on the status of oral phenylephrine.   

FDA https://www.fda.gov/drugs/drug-safety-and-availability/fda-clarifies-results-recent-advisory-committee-meeting-oral-phenylephrine

このほかにFDAが強調しているのは、

  • 経口でOTCでFDAが認可しているフェニレフリンの安全性には変更はない
  • 鼻づまりへの効果について、今回の進言は経口(タブレットなど)のみで、ナーザルスプレーはこの限りではない
  • FDAは引き続き調査をし、最終的な判断をする
  • フェニレフリン配合剤(アセトアミノフェンなど他の成分も含まれるもの)については、他成分の効果には影響がない

といった内容です。

最終的な判断が下されていませんが、今後どうなるか気になるところです。

シュードエフェドリンの規制根拠になっている法律

このシュードエフェドリンとその関連成分を規制する法律は2005年に連邦レベルで可決され、2006年から施行されました。

正式には “The Combat Methamphetamine Epidemic Act of 2005” と呼ばれます。

なぜシュードエフェドリンが規制されるのか

シュードエフェドリンがドラッグの“メタンフェタミン (通称メス)”の合成に使われるためです。

メタンフェタミンは日本でも処方時を除き*覚せい剤として取り締まられています。

 

*ナルコレプシー治療薬、ナルコレプシーでは突然覚醒からレム睡眠状態に陥る(全身の骨格筋が弛緩するカタプレキシーがおこり、立っていた場合は崩れ落ちる)

シュードエフェドリンは材料として用いられるだけで、シュードエフェドリン自体に依存形成作用はありません

TVドラマでアメリカのドラッグ問題を扱っている作品

メタンフェタミンでいつも思い出す作品があります。

“Breaking Bad (ブレイキングバッド)”です。日本でもご存じの方多いのではないでしょうか。

この作品では、元化学研究者で高校化学教師のウォルターがガンの余命宣告を受け、家族にお金を残すためにメスづくりに手を染めるところから悪いことが連鎖で起きていく・・・

数々の賞を受賞していますが、本当にこわ面白く、クオリティの高い作品です。

ウォルターの変わりようとその演技力が圧巻

アメリカ南西部の荒々しい砂漠地帯もシーンとして魅力的です

スピンオフの”Better Call Saul”は最近完結しましたが、こちらも本編をしのぐくらい面白いです(法律寄りの内容)

アメリカのドラマはタダのエンタメとしてだけじゃなく、色々な土地の違いや文化的なことを知るのにもお勧めです。以下の記事では州ごとにお勧めドラマを紹介しています。

まとめ

  • 鼻づまりに効く成分シュードエフェドリンを含む薬は市販薬であっても薬局でID提示購入が必要
  • IDを提示しても、購入制限を超えていた場合は買えない(薬局をかえててもだめ)
  • フェニレフリンはOTCとして買えるが、飲み薬の効果は疑問視されているので、スプレーが無難。疑問があれば薬剤師に相談。
  • アメリカも色々な種類のOTCがあるので、何か疑問があれば遠慮せずに薬剤師と話したいことを伝える
Author
Eliza

ニューヨーク州フィンガーレイクス地域からアメリカ (主にNY州) 情報を発信中。食べることと飲むことが好き。何かを自分でつくることや知ることが好き。そして結構一人の時間が好き。リスが好き。人生のためのお金の勉強中。前はフランスに住んでいました。薬剤師/PhD

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