実際にニューヨーク州の薬局で勤務経験があるので、薬局でつかう保険証の見方について詳しく書いてみます。
これさえ分かれば実際に薬局に行かなくても電話で保険証のアップデートや、初めての薬局でもスムーズな手続きができます。
逆に、薬局側はこの情報が正しく手元にないと処方箋を準備することができず、薬局に行ったときに待つ羽目になったり、最悪の場合薬がその日に手に入らないことにもなります。
※保険証情報が正しくても、色々な理由で処方箋が準備できていない場合もあります (何かしら問題があるときには薬局から連絡があるはずです)※
薬局で保険証が必要なケース
そもそも、どんな時に保険証が必要なの?
- 処方箋(医療機器含め)を保険を通じて受け取る場合
- ワクチンを保険を通じて受ける場合
上記の場合に保険証の情報が必要になります(当たり前ですが)
アメリカだとCOVID-19, インフルエンザに加えて帯状疱疹や破傷風など様々なワクチンを薬局で受けることができます。多くは保険で一部または全部カバーされるよ。
薬局で使える保険証 (NY州)
一般 (およびMedicare part D, 一部Medicaid)
保険証を見てみてると、カードのどこかに“RX”の文字が見えると思います。カードによっては裏側にしかない場合もあります。これが薬局で使えるということを表す文字になります。
NY州職員など公務員
NY州職員の場合は上記のような白いカードか薄青紫色のカードが保険証です。特にRXの文字はありませんが、薬局で使えます。
ミリタリー
ミリタリーの場合は、トライケア (TRICARE) と呼ばれる保険で薬局を利用することになります。こちら私は実際にカードを見たことはない気がしますが、RXの表記はないと思います。
アメリカ人との国際結婚だと軍関係の方も少なくないと思います (イサカは土地柄あまりいらっしゃらないようですが)。
薬局で働いていた時にびっくりしたのですが、トライケアの場合、加入者のSSNがIDナンバーとなるようです。
Medicare Part B
薬局でのMedicareの利用は主にPart Dなのですが、疾患などによってはPart Bの領域になります。また、ワクチン接種はPart Bになります。
こちらもRXが書かれていませんが、一部のお薬や医療機器に対してはPart Bになることがあります。主に糖尿病の場合です。
Medicaid
Medicaidでも上記”一般”のような見た目のカードではなく、以下のような場合はRXの文字はありませんが、薬局で使うことができます。
薬局が必要とする最低限の保険情報
- 名前、生年月日、住所 (保険会社情報と一致)
- RX BIN, RX GRP(group), RX PCN
- メンバーID
これらは上記の”一般”のようなカードだとカードのどこかに書いてあるはずです。
それ以外のカードはRX BIN, GRP, PCNは書かれていませんが、州職員なら”エンパイアプラン”、ミリタリーならその旨伝えれば薬局で処理できます。
RX BINなどによって、薬局ではどの会社のどのプランなのかがわかり、クレームできるようになります。
こんなときどうする?
保険証がない・保険情報がわからない
アメリカに来たて、仕事が変わったなどでまだカードが無くて、情報も分かりません
(ふつうはアクティブになる前に届くはずですが)
薬局では名前と住所と生年月日で検索をかけることができます。
もしきちんと何かの保険がアクティブになっていれば、出てくるはずです。もし何も出ない場合は保険会社側の登録に問題があるか、氏名生年月日などに間違いがある可能性があります。
まず薬局で綴り等を正しく検索しているか確認し、薬局側が正しい場合は保険会社に電話してください。
保険がない
そもそも保険がありません
就業などの問題で保険がない場合、イサカには保険なしで受診できるフリークリニックがあります。そこでは主に救急の薬(抗生物質など)など限られた薬についてバウチャーを発行してくれて、薬局でそれを保険の代わりに処理することができます。
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また、メディケイドの加入をされている場合そちらでカバーされます (fee waiverもあります)。
さらに、GoodRxなどを用いれば保険が無くても多くの医薬品をかなり安く購入できます。
一時的な滞在・短期留学で日本の海外保険しかない
日本から準備した海外保険ならあります
多くの薬局では海外保険を処理することはできません(少なくとも私が勤めていたところはできませんでした)。一般的に自己負担→保険会社から払い戻しとなると思いますが、保険会社に問い合わせてみてください。
高額で自己負担が難しい場合は医師に相談して安いお薬に変えてもらうか、GoodRxなどのクーポンを使うことになると思いますが、それがOKかは保険会社にもよると思います。薬剤師にもご相談ください。
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また、COVID-19のワクチンに関しては (少なくとも2021-22年夏までは)、アメリカの保険の有無にかかわらず誰でもco-payなしに接種可能でした。
なぜか薬局で処理できない
さっきから正しい情報言ってるのに、なんか薬局で処理してくれない!イライラするー!!
薬局のシステムの情報と保険会社の情報がマッチしていない可能性があります。
名前、住所、生年月日は正しいですか?薬局側が正しい場合、保険会社のシステムで間違っている場合があります(割とよくあります・・・)。また、特にアジア系の難しいお名前の場合、ファーストネームとミドルネームが入れ替わっていたり、名前の間違いは意外とあります。
また、薬局は基本的に処方箋の名前と生年月日をまず入力しますが(患者さんが薬局にきて、受け取り時にきちんと確認します)、ドクター側で間違っている場合もあります。
かなりフラストレーティングですが、基本的に患者様に保険会社及びドクターオフィスに連絡をしてもらうことになります。
実はその処方箋・・・
実はその薬私にじゃなくてペットのお薬なんです
ドクターオフィスと処方箋から薬局でもヒト用ではないとわかります。残念ながらペットは人の保険には入れませんので、全額自己負担です。(ちなみにイライザは薬局でペットの保険を使っている人は見たことがありません)
ただし、GoodRxはペットにも使えます。また、Wegmansなどには独自の保険システム(クーポン)があります (一般の保険との併用は不可、人にも使えます)。また、Walgreensには例えばジェネリックのインシュリンなどがあり、費用をかなり抑えることができます。
英語が話せません
ぶっちゃけなんて言ってるのか全然わからない・・・
ゆっくりまたは大きな声だと分かりやすいかもしれません。もし会話が苦手な場合は紙に書いてもらうこともできます (個人情報などはきちんと薬局で厳重に扱います)!ただ、保険系は難しい言葉も出てくるかもしれないし、説明が分からないこともあるかもしれません。
多くの大きな薬局は通訳サービス(電話で通訳者を仲介)がありますので、心配な場合はLanguage lineがあるか聞いてみてください。実際に勤務しているときに中国語とフィリピン語(?確かそのあたり) を利用したことがあります。
まとめ
薬局での処方箋の受け取りをスムーズに行うために、ご自身の保険証を確認してみてください。また、薬局側から保険証に関して聞かれる情報はRX BIN, RX PCN, RX GRPおよびIDです。
このほかにも薬局では特に初回時にはいろいろとチェックする項目があります。
私が勤務していたのはNY州で、アメリカは州によって色々違うので他州はまた違うかもしれません。また、2022年で退職しているので、その時の情報であることをご了承ください。