日本で使っていたお薬、アメリカで買える?日本薬剤師/元アメリカ薬局職員が解説します。
今回は花粉症・アレルギー性鼻炎のお薬から”アレグラ”です。主に大人用について書いています (子供用については別記事で書きます)
薬剤師になりたての頃に日本ではスイッチOTCが出て話題になったなぁ
スイッチOTCとは医療用医薬品 (処方薬) が市販薬 (OTC) に適用された薬で
これによりお医者さんに行かなくても同じ力価の薬が手に入るということで
とても便利ですね
市販が出始めた時は嵐の大野君がキャラクターで、紫のカラーもインパクト大きかったね
※薬の服用を促進する目的ではありません。
※少しでも疑問があれば薬剤師に相談しましょう。
専門でないネット記事では、
グーグル検索で上位にあがるようなサイトでも誤った情報を結構見かけます
初期段階の情報収集には有用ですが、鵜呑みにしないようにしたいところです
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アメリカでは病院のハードルが高いのですが
薬剤師さんはとても親身に説明してくれます
わからないことがあれば、薬剤師さんに相談しましょう
アレグラ (フェキソフェナジン) はアメリカで買えます
日本から海外へ行くとき、何を持っていくべきかでよく上がるのが医薬品。
日本の多くの市販薬はアメリカでも市販薬として買うことができます(買えないものもあります)。
処方箋薬はどうしようもないのですが、市販で買えるなら持っていく必要はないですよね。
アレグラはアメリカで簡単に買える薬の一つです。
日本のアレグラに一番近いのはこれ
よかった!
いざとなったときに買えるのは安心
ただし、いくつか違いがあります!
下で詳しく解説するけど、まずはアレグラの基本的なことを説明させてくださいね
日本のクラリチンもアメリカで同等のものを買うことができます
アレグラの基本情報
アレグラの有効成分
アレグラの有効成分はフェキソフェナジン fexofenadineです
日本でもアメリカでも後発品 (ジェネリック) は基本的に*成分名を用いることになっているので、
後発品はフェキソフェナジンです。
*処方薬の場合。市販薬の場合異なる名前(アメリカの場合、より症状メインで直感的な名前)がついている場合があります。市販薬の場合でもパッケージに成分名が書かれています。
フェキソフェナジンとは
フェキソフェナジンは抗ヒスタミン薬です。
アレルギー反応がおこると、ヒスタミンと呼ばれる物質がでます。
これがヒスタミンの受容体にくっつくことでくしゃみや鼻水が出ます。
蕁麻疹など、皮膚のかゆみに関与するのもヒスタミンとヒスタミン受容体です。
ヒスタミンの受容体にも色々タイプがあって、
アレルギーに関するのはH1受容体と呼ばれるものです。
このあたりも面白くて話し始めるととまらなそうなので、やめときます
抗ヒスタミン薬はこの”くっつく”部分を邪魔することでアレルギーによるくしゃみ鼻水に効きます。
また、フェキソフェナジンにはこのヒスタミンの放出自体を抑える作用があるので、予防にもなります。
フェキソフェナジンが効くのはどんな時?
花粉症やハウスダストなど、アレルギー反応による症状(鼻水、くしゃみなど)です
フェキソフェナジンは眠くなりにくい?
花粉症の薬 = 眠くなる?
多くの人が経験があると思います。
これは、ヒスタミンという物質が脳の中では覚醒に関与しているためです。
ヒスタミンの作用をじゃますることで、眠くなります。
なので、抗ヒスタミン薬は一般的には眠気を引き起こします。
ただし、フェキソフェナジンは抗ヒスタミン薬の中でもこの作用が弱く、眠くなりにくいとされています。
アレグラ (フェキソフェナジン) は脳へ移行しづらいので、
中枢系の作用 (眠気など) がおきにくいんです。
英語では”眠くなりにくい (薬) “を“Non-Drowsy”というよ
パッケージにも書かれているから見てみてね
ただし、かならず眠くならないわけではないです
人によるし、同じ人でも体調などにも左右されます
個人差はあると思うけど、このような眠くなりにくい抗ヒスタミン薬 (第二世代抗ヒスタミン薬) は効果はわりとマイルドな傾向が少しあります。人によっては効果を感じづらいかも。
アレグラ (フェキソフェナジン) の特長
- 眠くなりにくい、ぼーっとなりにくい
- 口が乾きにくい、便秘になりにくい
- (アメリカ) 2歳から使える
- クラリチンにくらべて速効性がある (アレグラより)
- 起きている症状だけでなく、予防効果がある
- 一錠で半日(日本・アメリカ12H)または一日 (アメリカ24H) 効き目が持続する
日本とアメリカのアレグラ (大人用) の違い
日米アレグラの比較①: 商品名
日米でブランド名に違いはありません。
- 先発/ブランド: 日 = アレグラ, 米 = アレグラ (Allegra)
- 後発/ジェネリック: アレジーリリーフ (Allergy Relief), フェキソフェナジン
日米アレグラの比較②: 有効成分量
日本とアメリカの大きな違いは一錠に含まれるフェキソフェナジン量です。
Bigger is Better でしょ?
それは違うけど・・・
そもそも日本人は全体的に体が小さいし、代謝とかも違うし、日本は結構安全性に対するガードが堅いので基本的に日本の薬はアメリカに比べて成分量が少ない傾向です。
アメリカの薬は効きがいいわーっていう人たまに聞くけど
そういうことなんですね。
薬が効くためには体の血液の中での濃度とか、いろーんなことがかかわってくるの
ただ、濃度が高すぎると今度は”副作用”という他の作用が出てしまうから、高ければいいっていうことじゃないんだよ。
このあたりは本当に面白くて、語り始めると長くなるから今日はここで自重するね。
日本のアレグラ (15歳以上用) は60mg/錠
日本のアレグラはとてもシンプルで、一種類のみ。
有効成分量: フェキソフェナジン 60mg/錠 — 一錠で12時間効果が持続
用法用量: 朝夕に一錠ずつ (一日量120mg)
剤型: 錠剤
ジェネリック: あり
アメリカのアレグラ (12歳以上用) は60~180mg/錠
アメリカのアレグラは基本的に
- 12時間持続 (12H) か 24時間持続 (24H)
- 他の成分が入っているか
- 剤型
- 大人用か子供用か
- 錠数
で沢山の種類があります。
薬までバリューサイズってなんかウケるんですけど・・・
有効成分量: フェキソフェナジン 60mg/錠 (12H) または 180mg/錠 (24H)
用法用量: (12H) 朝夕に一錠ずつ (一日量120mg) , (24H) 一日一錠 (一日量180mg)
つまり、日本のアレグラと同じものが欲しい場合は12Hのものを選べばいい
剤型: (大人用) 錠剤、カプセル
ジェネリック: あり
ジェネリックもブランドカラーを意識しているから直感的にわかりやすいね
配合錠: あり (Allegra-Dは鼻づまりに効くシュードエフェドリンが入っている = 薬局でIDを提示して購入する必要があります)
鼻づまりがひどくて寝苦しい方には鼻うがいをお勧めします!
夜寝る前にすることで、眠りが全然違います!
※完全に詰まっているときにはしないでください。
日米のアレグラの比較③: 添加剤
結論から言うと、
日米アレグラ (ブランド) で添加剤 (inactive ingredient) に大きな違いはみられませんでした。
ただし、ジェネリックではラクトース化合物を含んでいるものがあります。
日本のアレグラ (大人用) の添加物
添加物: | 結晶セルロース、部分アルファー化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、 ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、ヒプロメロース、ポビドン、 酸化チタン、マクロゴール400、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄 |
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アメリカのアレグラ (大人用) の添加物
inactive ingredients: | Colloidal Silicone Dioxide, Croscarmellose Sodium, Hypromellose, Iron Oxide Blends, Magnesium Stearate, Microcrystalline Cellulose, Polyethylene Glycol, Povidone, Pregelatinized Starch, Titanium Dioxide. |
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酸化チタン (titanium dioxide) 、酸化鉄 (iron oxide) がいわゆる着色剤です
それ以外は主に製剤や安定性などのために加えられています
アメリカのフェキソフェナジン (大人用) の添加物: Topco
inactive ingredients: | Colloidal Silicon Dioxide, Croscarmellose Sodium, Hypromellose, Iron Oxide Black, Iron Oxide Red, Iron Oxide Yellow, Lactose Monohydrate, Macrogol, Magnesium Stearate, Microcrystalline Cellulose, Pregelanitized Starch, Titanium Dioxide. |
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ラクトース不耐症のかたは程度にもよりますが避けたほうが吉かもしれません。
ブランドか、他の商品も代替が多くあるので薬剤師に相談してみてください。
日米のアレグラ比較④: 価格とクーポン (処方箋なしで購入の場合)
日本のアレグラ
包 装 | 価格/希望小売価格(税込) |
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14錠 | 1,446円 (103円/錠) |
28錠 | 2,075円 (74円/錠) |
56錠 | 3,850円 (69円/錠) |
アメリカのアレグラ
- 24 count: $15.99 ($0.67/count) — 12H (日本のアレグラと同等商品) Wegmans
- 30 count: $19.99 ($0.67/count) — 24H, Wegmans
- 70 count: $34.99 ($0.49/count) — 24H, Wegmans
アメリカでのアレグラのクーポン情報
さらに、キャッシュバックアプリのibottaでも花粉の季節などはよくクーポンが出ます。
初めて登録する方は是非コード LDXLQHR を使ってみて下さいね!
ウェルカムキャッシュバックに加えて、リファラルキャッシュバックがもらえます
ibottaって何?となった方は下記の記事をチェックしてみてね
アレグラ関連英単語
- 抗ヒスタミン: anti-histamine
- 花粉症: hay fever, pollen/seasonal allergy
- 眠くなりにくい: non-drowsy
- くしゃみ: sneezing
- 目のかゆみ・かすみ: itchy eyes, watery eyes
- 鼻/のどのかゆみ: itchy nose/throat
- 鼻水: running nose
- 錠剤: tablet
- カプセル: capsule
- 口腔内崩壊錠: (orally) dissolve tablets
日本とアメリカのアレグラの違い まとめ
- 日本のアレグラと同じものがアメリカでも買える
- アメリカでは成人用量は12歳以上 (日本では15歳以上)
- アメリカではより高容量の24Hが手に入る
- アメリカではオンラインでクーポンがあり、HSA対象